東京都西多摩郡瑞穂町に位置する瑞穂斎場は、瑞穂町・福生市・羽村市・入間市・武蔵村山市の5市町が共同で運営する公営の総合斎場です。豊かな自然に囲まれた静寂な環境と、火葬場と式場が一体となった利便性の高さから、管内にお住まいの方々を中心に多くのご葬儀で利用されています。故人様との最後のお別れを済ませ、火葬炉の扉が閉まる瞬間は、ご遺族にとって最も感情が揺れ動く場面の一つでしょう。しかし、その後に訪れる「火葬の待ち時間」については、意外と詳しく知られていないのが実情です。
「火葬には具体的にどれくらいの時間がかかるのか?」「その間、どこで何をしていればいいのか?」といった疑問は、当日のスケジュールを組む上で欠かせない要素です。特に、遠方からのご親族がいらっしゃる場合や、ご高齢の参列者がいる場合、待ち時間の過ごし方は身体的・精神的な負担に大きく関わってきます。また、この時間を活用して「精進落とし(食事)」を行うケースも増えており、事前の段取りがスムーズな葬儀の鍵を握ります。
本コラムでは、瑞穂斎場における火葬所要時間の目安から、到着から収骨までの詳細なタイムスケジュール、そして待ち時間を有意義に過ごすためのポイントまでを徹底解説します。数多くの葬儀をサポートしてきた東京葬儀の経験に基づき、安心して当日を迎えるための完全ガイドをお届けします。
瑞穂斎場の火葬所要時間:目安と時間が変動する要因
まず、ご遺族が最も気にされる「火葬にかかる時間」について詳しく解説します。瑞穂斎場には最新の火葬炉が導入されており、効率的かつ尊厳を持って火葬が行われますが、スイッチひとつで即座に完了するわけではありません。一般的に、点火から収骨の準備が整うまでの所要時間は、概ね1時間から1時間15分程度が目安とされています。
この時間は、単に燃焼にかかる時間だけでなく、燃焼後の冷却時間も含んでいます。ご遺骨をきれいに残し、安全に収骨を行うためには、炉内を適切な温度まで下げる工程が不可欠だからです。ただし、この「1時間〜1時間15分」という数字はあくまで標準的な平均値であり、実際には様々な要因によって前後することをご理解いただく必要があります。
時間が変動する主な要因として、以下の3点が挙げられます。
- 故人様の体格や骨格の状態
ご遺体の状況は火葬時間に大きく影響します。お身体が大きい方や筋肉質の方、あるいは骨密度が高いお若い方の場合、燃焼に物理的な熱量と時間を要するため、通常よりも15分〜30分程度長くかかることがあります。逆に、小柄な方やご高齢で痩せている方の場合は、目安よりも早く終了することもあります。 - 副葬品の内容と量
棺の中に納められた「副葬品(思い出の品など)」も時間に影響を与えます。特に、水分を多く含む果物(スイカやメロンなど)、分厚い書物、大量の生花、あるいは燃えにくい化学繊維の衣類などは、炉内の温度を下げる原因となったり、燃焼の妨げになったりします。これにより時間が延びるだけでなく、ご遺骨に煤(すす)が付着する原因にもなるため、副葬品は最小限に留めるのがマナーです。 - 火葬炉の稼働状況
火葬炉は、朝一番の稼働時(炉が冷えている状態)よりも、2件目以降(炉が温まっている状態)の方が熱効率が良く、若干早くなる傾向があります。瑞穂斎場ではコンピュータ制御で温度管理が行われていますが、物理的な熱の伝わり方には多少の差が生じます。
このように、火葬時間は一律ではありません。ご遺族としては「早く終わってほしい」と思う反面、「丁寧に扱ってほしい」と願うものです。時間がかかっている場合でも、それは故人様のお骨をきれいに残すために、火葬技師が細心の注意を払って温度調整を行っている証拠です。焦らずに、故人様が姿を変えるための大切な時間として受け止める心構えが必要です。次章では、この火葬時間を軸にした当日の具体的なタイムスケジュールを見ていきましょう。
到着から収骨まで:当日の標準的なタイムスケジュール
火葬当日は、分刻みのスケジュールで動くことになります。特に瑞穂斎場のような公営斎場では、多くのご葬家が利用するため、時間の厳守が求められます。ここでは、一般的な「11:00 火葬点火」のケースを例に、到着から収骨までの標準的な流れをご紹介します。
10:30〜10:40(点火20〜30分前):瑞穂斎場へ到着
霊柩車、ハイヤー、マイクロバスなどで瑞穂斎場の火葬棟へ到着します。瑞穂斎場の式場で葬儀を行った場合は、式場棟から火葬棟への移動となります。到着後、棺は台車に移され、炉前ホールへと移動します。ここでトイレなどを済ませる時間はあまりありませんので、出発前に済ませておくか、到着後速やかに済ませることが重要です。
10:45〜10:55(点火10〜15分前):最後のお別れ(納めの式)
炉前ホールにて、故人様との最後のご対面を行います。これを「納めの式」と呼びます。僧侶が同行している場合は、ここで短い読経(炉前経)をあげていただき、ご遺族は焼香を行います。
棺の小窓(または蓋)を開けてお顔を見て、お花を入れたり(少量に限る)、言葉をかけたりします。この時間は非常に厳粛で、かつ短時間(5分〜10分程度)で済ませるのがルールです。次の予約が入っている場合もあるため、スムーズな進行にご協力ください。
11:00:点火(火葬開始)
係員の案内により、火葬炉へと棺が納められます。点火のスイッチを押す、あるいは合掌で見送るなどして、炉の扉が閉まります。これが物理的なお別れの瞬間となります。
11:05〜12:15:待合室での待機(約70分)
火葬中の約1時間強を、指定された待合室で過ごします。瑞穂斎場には複数の待合室が完備されており、ここで食事(精進落とし)をしたり、お茶を飲んだりして過ごします。この時間の使い方が、本コラムのメインテーマの一つです。
12:15〜12:30:収骨(骨上げ)
館内放送、または係員の呼び出しにより「○○家の収骨の準備が整いました」と案内が入ります。全員で収骨室へ移動し、二人一組でお骨を骨壺に納める「箸渡し」の儀式を行います。
収骨にかかる時間は約15分〜20分程度です。すべて終了すると、埋葬許可証(火葬済みの印が押されたもの)を受け取り、解散または帰路につきます。
このように、火葬場での滞在時間はトータルで約1時間半から2時間弱となります。このうちの大部分を占める「待ち時間」を有意義に過ごすために、多くの方が「精進落とし」を行っています。次章で詳しく解説します。
東京葬儀は、瑞穂斎場のメリットを活かし、ご予算を抑えつつも心のこもった葬儀を提供いたします。

待ち時間の過ごし方①:精進落とし(食事)の手配とルール
火葬中の約1時間をどのように使うかは、葬儀のスタイルや地域の慣習によって異なりますが、瑞穂斎場を利用する場合、昨今の主流となっているのが「この待ち時間を利用して精進落とし(食事)を行う」というパターンです。
火葬中に食事をするメリット
かつては、火葬後に改めて式場や料理屋へ移動して「精進落とし(本膳)」の席を設けることが一般的でした。しかし、これには「拘束時間が長くなる」「移動の負担がかかる」「再度場所を確保する費用がかかる」といったデメリットがありました。
瑞穂斎場のように待合室の設備が整っている施設では、火葬中の待ち時間を食事に充てることで、以下のようなメリットが生まれます。
- 時間の有効活用:ただ待つだけの時間を、故人を偲ぶ会食の時間に変えられる。
- 負担軽減:収骨が終われば現地解散が可能となり、遠方からの参列者やご高齢の方の負担が大幅に減る。
- コストダウン:外部の料理屋を利用する移動費や室料を節約できる。
料理の手配と瑞穂斎場のルール
瑞穂斎場で食事を行う場合、基本的には仕出し料理の手配が必要です。瑞穂斎場は公営施設であるため、特定の料理業者が指定されているわけではありませんが、ゴミの持ち帰りや配膳・片付けのルールが厳格に定められています。
そのため、瑞穂斎場の利用実績が豊富で、ルールを熟知している葬儀社(東京葬儀など)を通じて手配するのが最も確実で安心です。
- メニュー選び:火葬時間は1時間強と限られているため、コース料理のような提供に時間のかかるものではなく、「松花堂弁当」や「懐石弁当」など、あらかじめセットされたお弁当タイプが選ばれます。
- 飲み物:ビール、日本酒、ジュース、ウーロン茶などを葬儀社が用意し、冷蔵庫で冷やしておきます。使用した分だけ精算する形式が一般的です。
食事を始めると話が弾み、あっという間に時間が過ぎてしまいます。「収骨の案内」が入ったら、食事の途中であっても箸を止め、速やかに移動しなければなりません。そのため、喪主様や進行係は時間を意識し、終了予定時刻の10分前には片付けの準備を促す必要があります。食事以外の過ごし方については、次章で解説します。
待ち時間の過ごし方②:待合室(控室)の設備と快適な利用法
食事を行わない場合や、少人数の家族葬で軽食程度で済ませる場合でも、待合室は重要な休息の場となります。瑞穂斎場の待合室は非常に充実しており、快適に過ごすための設備が整っています。
待合室の種類と利用料金
瑞穂斎場には、火葬利用者用の待合室が全13室用意されています。和室と洋室があり、人数や好みに応じて選ぶことができます(※予約状況による)。
利用料金は、故人様または申請者が「組合市町(瑞穂町・福生市・羽村市・入間市・武蔵村山市)」の住民であるか、それ以外の地域(組合外)であるかによって異なります。
- 組合内住民:比較的安価な市民料金で利用可能です(例:数千円程度)。
- 組合外住民:利用料は高くなりますが、それでも民間の貸し会議室等と比べればリーズナブルです。
待合室を利用する際は、事前に葬儀社を通じて予約を入れておく必要があります。当日の飛び込み利用は難しいため、必ずプランニングの段階で確保しておきましょう。
待合室での過ごし方
待合室は完全な個室となっているため、他家の視線を気にすることなくリラックスできます。
- 思い出話に花を咲かせる:故人様のアルバムや写真を持参し、皆で見ながら思い出を語り合うのは、最も良い供養の一つです。
- お茶菓子をつまむ:本格的な食事でなくても、お茶とお菓子を用意して一息つくのも良いでしょう。売店で購入することも可能です。
- 着替えや休憩:靴を脱いで足を伸ばしたり(和室の場合)、小さなお子様を休ませたりするのにも適しています。
待合室の中だけでなく、館内には他にも利用できる設備があります。気分転換に少し歩いてみるのも良いでしょう。次章でご紹介します。
施設内設備ガイド:売店・喫煙所・バリアフリー情報
瑞穂斎場は広くてきれいな施設ですが、どこに何があるかを知っておくと、待ち時間をより快適に過ごせます。
売店の品揃えと活用法
館内には売店があり、ちょっとした買い物に便利です。
- 販売品目:お菓子、パン、飲み物(アルコール含む)、アイスクリームなどが販売されています。また、香典袋や数珠、黒ネクタイなどの葬祭用品も取り扱っているため、急な忘れ物をした際にも安心です。
- お土産:地域の名産品などが置かれていることもあり、遠方からの参列者が購入されるケースもあります。
売店で購入したものを待合室に持ち込んで食べることも可能です。気分転換に売店を覗いてみるのも良い時間の使い方です。
喫煙所事情
近年、屋内禁煙の施設が増えていますが、瑞穂斎場には所定の場所に喫煙所が設けられています。建物内は全面禁煙ですが、屋外や指定された喫煙スペースを利用することで、愛煙家の方もストレスなく過ごせます。場所については当日の案内看板やスタッフにご確認ください。
バリアフリーとトイレ
瑞穂斎場はバリアフリー設計が徹底されています。
- 多目的トイレ:車椅子対応の広いトイレが各所に設置されており、オムツ替えシートも備えられています。
- 段差の解消:エントランスから炉前ホール、待合室、収骨室に至るまで、段差がほとんどなく、車椅子の方や足の不自由なご高齢の方でもスムーズに移動できます。
- 車椅子の貸し出し:数に限りはありますが、館内用車椅子の貸し出しも行っています。必要な場合は葬儀社へ事前に相談しておくと安心です。
快適な環境で時間を過ごした後は、いよいよ最後の大切な儀式、「収骨」です。次章でその作法と流れを確認しましょう。
収骨(お骨上げ)の流れと作法・注意点
楽しい食事や会話の時間も、収骨の案内が入れば終了です。ここからは再び気を引き締め、お骨となって戻ってこられた故人様と対面する厳粛な儀式へと移ります。
収骨室への移動と説明
案内があったら、荷物をまとめて収骨室へ移動します。瑞穂斎場の収骨室は明るく清潔な個室になっており、プライバシーが守られています。部屋の中央に、火葬を終えたお骨が台に乗せられて運ばれてきます。
まず、火葬技師の方から火葬の結果やお骨の状態についての説明があります。ペースメーカーなどの金属類があった場合や、ご病気の影響なども、差し支えない範囲で教えてくれることがあります。
収骨の作法:箸渡し
収骨は、長さの違う「竹」と「木」の箸を1本ずつ使い、二人一組でお骨を挟んで骨壺へ運びます。これには「この世からあの世への橋渡し」という意味が込められています。
- 合掌・一礼:まず全員で一礼します。
- 足元から順に:故人様と縁の深い方(喪主様など)から順に、足のお骨から拾い上げます。
- 下から上へ:足、腕、腰、背骨…と、生前の姿に近くなるよう、下から順に積み上げていきます。
- 喉仏(のどぼとけ):最後に、故人様と最も繋がりの深い方が、仏様が座禅を組んでいる形に似ている「喉仏(第二頸椎)」を拾い上げ、骨壺の一番上に納めます。
係員が「これはどこのお骨です」と丁寧に説明しながらサポートしてくれますので、初めての方でも安心です。
全収骨と部分収骨
関東地方では、すべてのお骨を骨壺に納める「全収骨」が一般的ですが、地域や宗派によっては一部のみを拾う「部分収骨」の場合もあります。瑞穂斎場では基本的に全収骨に対応できるサイズの骨壺(7寸など)を使用しますが、ご遺族の希望に合わせて調整も可能です。入りきらない細かいお骨や灰も、係員がきれいに集めて納めてくれます。
最後に、実際に瑞穂斎場を利用された方の事例をご紹介し、当日のイメージをより具体的に掴んでいただきましょう。
[瑞穂斎場]での葬儀事例:[東京葬儀]によるサポート内容
実際に東京葬儀がサポートさせていただいた、瑞穂斎場での火葬当日の事例をご紹介します。待ち時間をどのように過ごし、満足度の高いお見送りができたかの実例です。
事例:瑞穂町在住 80代女性の家族葬(参列者15名)
【ご遺族の状況・ご要望】
「母は生前、家族で賑やかに食事をするのが大好きだった。最後もみんなで楽しく食事をして送りたいが、火葬場というと暗いイメージがあり、湿っぽくなるのが心配。また、高齢の父が車椅子なので移動が不安」というご相談でした。
【東京葬儀の提案と当日の様子】
1. 広めの和洋室待合室を手配
車椅子のお父様もそのまま入れるよう、イス席のある広めの待合室を確保しました。靴を脱いでリラックスできるスペースもあり、曾孫にあたる小さなお子様たちも退屈せずに過ごせました。
2. 「思い出メニュー」の再現
通常の精進落とし弁当に加え、故人様が得意料理だった「煮物」に似たメニューが含まれるオードブルを追加で手配。食事をしながら「お母さんの味に似てるね」「作り方を教わっておけばよかった」と、自然と思い出話に花が咲きました。故人様の遺影写真をテーブルの上座に飾り、一緒に食事をしているような温かい空間を作りました。
3. きめ細やかな移動サポート
移動の際は、当社のスタッフが先回りしてエレベーターやスロープの動線を確保。お父様も焦ることなく、スムーズに炉前でのお別れと収骨に参加できました。
【ご遺族の声】
「火葬の待ち時間はもっと長く退屈なものかと思っていましたが、東京葬儀さんが準備してくれたおかげで、母との最後のパーティーのような温かい時間になりました。父も『いい葬式だった』と喜んでおり、感謝しています。」
まとめ:時間は短くても、思い出は深く刻まれる
本コラムでは、瑞穂斎場における火葬時間と、その待ち時間の過ごし方について解説してきました。
- 火葬時間:約1時間〜1時間15分。故人様の状態や副葬品により変動する。
- スケジュール:到着から収骨までトータル約1時間半〜2時間弱。
- 過ごし方:待合室での精進落とし(食事)が一般的かつ合理的。
- 設備:売店やバリアフリー設備が充実しており、快適に過ごせる。
火葬中の1時間は、故人様が姿を変えるための物理的な時間であると同時に、遺された人々が心の整理をつけ、日常へと戻っていくための大切な「区切りの時間」でもあります。ただ漫然と待つのではなく、事前の準備と工夫次第で、かけがえのない思い出の時間に変えることができます。
瑞穂斎場の特性を知り尽くした東京葬儀であれば、待ち時間の過ごし方も含め、皆様の心に残るお見送りを全力でサポートいたします。どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。